特集 難病妊産婦のケア
各疾患の看護の事例
全身性エリテマトーデスを合併する妊産婦の看護
友井 弘子
1
,
山口 喜代美
2
,
草場 直子
2
,
瀬川 冨美子
2
1天理よろづ相談所病院産科外来
2天理よろづ相談所病院産科病棟
pp.570-574
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903337
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はじめに
全身性エリテマトーデス(以後SLEと略す)は,いまだ原因不明の多臓器障害をきたす全身疾患で,寛解と増悪を繰り返す自己免疫疾患である5)。SLEが良好にコントロールされている限り,妊娠の結果は良好であるとする報告が多くみられる4,10,11)。しかし,妊娠や出産によりSLEが悪化したり,自然流産・早産・子宮内胎児死亡・死産・低出生体重児の比率が高い4,5,6)。このため,妊娠・分娩・産褥期の継続的な母子管理が必要となる。
3年前に,私たちはSLE合併妊婦(Nさん)を妊娠後期より受け持ち看護したが,SLE増悪による妊娠中毒症の併発,帝王切開術,マタニティーブルー,乳汁分泌過多によるトラブルなどの問題を抱えるということがあった。Nさんの今回の第二子妊娠時には,早期からの受け持ち看護が必要であると感じた。そこで,SLEの病態が悪化せず正常な妊娠経過をたどり,産褥期の自己管理が行なえることを目標に,妊娠早期より受け持ち母子看護を行ない,その成果が得られたので援助内容を述べる。
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