特集 難病妊産婦のケア
各疾患の看護の事例
多発性硬化症を合併する妊産婦の看護
関島 英子
1,2
1前:北里大学病院産科病棟
2東邦大学医療短期大学専攻科
pp.555-559
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903334
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はじめに
多発性硬化症(multiple sclerosis:以下MSと略す)は,わが国においては,10万人に2〜4人の発症割合とされ,発症年齢は15〜50歳といわれている。疾患そのものの頻度が低いため,妊娠に合併するのは稀である。MSは脳・脊髄など中枢神経系に散在性の脱髄病巣をきたす疾患であり,錐体路徴候・小脳症状・視神経炎・脳神経障害・脊髄症状から複数の病巣が示唆され,症状の寛解・増悪の反復がみられるのが特徴である1)。 私たち北里大学病院の産科病棟スタッフは,昨年,本疾患の重症例と思われる事例の看護を経験した。治療のみならず看護にも定石がないといわれる多くの難病疾患のなかで,本事例も例外ではなく,試行錯誤で看護を行なう日々であった。
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