臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VI.神経・筋疾患
多発性硬化症
柴崎 浩
1,2
1九大脳研
2九大神経内科
pp.1982-1985
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207571
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概念
多発性硬化症(multiple scierosis,以下MSと略す)は,脱髄性脳脊髄炎の中で最も多いものであり,グリオーシスのために硬くなった脱髄斑が中枢神経系白質に散在するものである.臨床的には,若年成人に急激に発症し,中枢神経系の多巣性病変に基づく症候が緩解と再発をくり返すのが特徴である(図).MSの頻度は,欧米では若年成人の神経疾患の中でも最も多いものの一つであるが,わが国では人口10万2〜4と高くない.
MSの診断は,髄液中のγ-グロブリン,中でもIgGが増加していると,かなりその可能性が高くなるが,そうでない場合もあり,もっぱら臨床的に,すなわち病歴と神経学的所見に基づいてなされるのが現状である.
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