連載 りれー随筆・208
成長の肥やし
坂 真由美
1
1聖バルナバ病院
pp.264-265
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902846
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阪神大震災
1995年1月17日早朝,「ドーン」という低くて大きな音の後,激しい揺れのため寮のベッドから振り落とされそうになって私は目覚めました。様々なものが床に落ち,暗闇の中でも部屋が乱れている様子が窺えます。もう一度寝ようと布団にくるまりましたが,廊下からすすり泣く声や悲鳴が聞こえ「これはただごとではない!」と外へ出ました。同じ寮にいる看護婦たちは皆動揺しており,混乱状態にありました。
当時勤務していた神戸市立中央市民病院小児科病棟へ,少し早めに出勤しました。いつも通っている道なのに,外へ出た途端激しく転んでしまいます。道に大きな亀裂や,ボコボコの段差があったからです。病院に着いても,地下は水びたしで更衣室へ行けず,さすがの私も,事態の重大さを認識し始めました。エレベーターは作動せず,7階にある病棟まで真っ暗な階段を丁探りで昇っていくうちに,圧迫感と恐怖感で気分が悪くなってきました。
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