連載 人を癒す自然との絆・18
成長の庭
大塚 敦子
pp.50-51
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102003
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この夏から,カリフォルニアにある「シエラ・ユース・センター」(以下,シエラ)という少女のための更生施設に通っている.10年ほど前にも何度か取材に通ったことがある場所だが,その当時は少年が中心の施設だった.それが,3年前からは少女の施設に変わり,少年とはまた違った課題を抱える少女の社会復帰支援にフォーカスするようになった.日本と同様,アメリカでも少女のための更生施設は数少ないため,シエラは貴重な存在だ.
シエラの収容人数は17人.麻薬や凶器の不法所持,窃盗,恐喝,喧嘩などの罪を犯した12~18歳までの少女たちが収監されている.機能不全や低所得の家庭に育ち,虐待やネグレクトを経験した子が多い.そんな彼女たちへの教育のなかでシエラがもっとも重視するのは,セルフ・エスティーム(自己肯定感)を築くこと,家族関係を改善すること,学力をつけさせること,そして自分の行動に責任を持たせること,の4点だ.そのために,学業の他に,ファミリーセラピーやアルコール/薬物依存者の自助ミーティング,性的虐待の犠牲者へのカウンセリング,ガールスカウトによる野外活動や奉仕活動への参加,ヨガなど,多彩なプログラムを行っている.
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