連載 新生児医療最新トピックス・10
新生児マス・スクリーニングの最近の話題
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.1004-1009
発行日 2001年11月25日
Published Date 2001/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902767
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新生児のマス・スクリーニングの歴史と現状
1.新生児マス・スクリーニングとは
新生児のマス・スクリーニングには,心疾患のマス・スクリーニングや発育発達が正常であるかどうかを調べるスクリーニングも含まれるが,今回解説するマス・スクリーニングの対象は,すべての新生児を対象に早期に診断し早期に対応すれば,児の予後に重大な影響を及ぼす結果を防ぐことができる先天性疾患を,行政的にシステムをつくり,スクリーニングするものについてである。歴史的に最も有名なものはフェニルケトン尿症(PKU)であり,本疾患は発達が遅れた時点で診断された場合は,治療を行なっても知能障害を防ぐことができない疾患である。PKUはかつては精薄児の重要な原因であったが,フェニルケトン尿症の新生児マス・スクリーニングが行なわれるようになり,そのほとんどが予防できるようになった。このように新生児マス・スクリーニングの対象となる疾患は,重篤な結果をもたらす疾患であるが,早期に発見することができれば予防が可能な疾患といえる。
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