連載 りれー随筆・194
わたしの母の眠り
江渡 綾子
pp.1088-1089
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902552
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
もう,5年前のことになるが,母が入院してそのまま手術となった。しかし,それは単なる試験開腹に終わった。そして,余命宣告。まるで,ドラマでも見ているかのようだった。
母は元気なころから,「もし自分が癌でも,言わないで欲しい」と言っていた。そのことがあって,母には告知しなかった。それでも,母はなんとはなしに自分の病気を知っていたと思う。はっきりと告知をしていれば,また違った最期が送れたのではないかと思ったりもするが,告知しなかったことに後悔はない。それが母なりの考えであり意志であった。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.