特集 インフォームド・コンセント
医の倫理とインフォームド・コンセント
加藤 尚武
1
Hisatake KATO
1
1千葉大学文学部
pp.583-586
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209326
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「インフォームド・コンセント」は近代主義的概念か
「インフォームド・コンセント」という概念を医療関係の「近代化」をあらわす概念とみなして良いのか.医師と患者の関係が,呪術師と信者をモデルとする上下関係から,民事契約をモデルとする水平の関係に移って行くことの現れだと見ることは,正しいのだろうか.先生と呼ばれて上に立ち,命令もするが同時に患者を父のような力で保護する,どちらかと言うと封建的な医師像から,患者と人間としては対等の関係にたつ,近代的な医師像に変わっていく,そのような「医師像の近代化」のあり方として「インフォームド・コンセント」があると理解したら,大きな誤りになるのではないだろうか.すなわち「呪術師モデル」と「民事契約モデル」のほかに,第三のモデルが存在しなければならないのではないだろうか.
まず「ポスト・モダニズム」の発想法で,疑問を提起してみる.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.