今月のニュース診断
ES細胞とインフォームド・コンセント
斎藤 有紀子
1
1北里大学医学部医学原論研究部門 法哲学・生命倫理
pp.370-371
発行日 2000年5月25日
Published Date 2000/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902398
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体外受精児の誕生,年1万人
1998年に体外受精によって生まれた子どもの数が初めて1万人を超えていたことが,日本産科婦人科学会の調査で分かった。全出生数のおよそ120人に1人の割合になるという(朝日3月16日)。1983年に東北大で初めての子どもが誕生して以来,受精卵凍結の技術の進歩,顕微受精の登場により,体外受精の適応の範囲は確実に広がってきた。不妊検査や施術に伴う身体への負担も軽減される一方で,新しい技術に付随する心理的・時間的・経済的負担,そしてもちろん,まだ決して軽微とは言えない身体的負担について,さらなる配慮が期待されている。
そのような中,不妊治療の現場に,新しい要素が1つ加わろうとしている。ヒト胚研究のための受精卵提供のインフォームド・コンセントである。これは,とりわけES細胞研究のニーズから生まれてきた。
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