連載 とらうべ
保健医療の「非医学化」
若井 晋
1
1東京大学医学系大学院国際地域保健学
pp.459
発行日 2000年6月25日
Published Date 2000/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902416
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ジェンダー(Gender)の違いに基づく生活や仕事の分担,分業は古代から様々な形で人類の知慧として機能してきた.しかし,近代という時代はむしろ「女性」という性,ジェンダーに対して否定的な意味で分業化を強いてきた.とくに保健医療の世界では,医師中心,男性優位であり,看護婦(士)や助産婦には補助的な役割しか与えられてこなかった.近年,状況は変わりつつあるとはいえ,多くの場合「協同者」として見られていないのが現実である.私はこれを「男性中心の医学化された保健医療(Male dominant medicalized health care)」と呼んでいる.
現在私の専門とする国際保健学の目的は,保健医療を「非医学化(Demldicalization)」することであり,なぜ国と国との間で,また国のなかで,そしてジェンダーによって,人びとの健康状態に差があるのかを探究し,解決するための方策を研究することにある.
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