ケースレポート
予後不良の胎児異常を告げられ混乱をきたした妊産婦の看護
渡辺 千枝
1
,
小野 美可
1
,
安部 いずみ
1
,
島田 紀美
1
,
三ケ尻 かおる
1
,
田中 恵子
1
,
松尾 壽子
2
,
富安 俊子
2
,
武内 珠美
3
1大分医科大学附属病院産婦人科病棟
2大分医科大学医学部看護学科
3大分大学教育学部
pp.438-445
発行日 2000年5月25日
Published Date 2000/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902411
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はじめに
妊娠という喜ばしい出来事の中で,胎児に異常が見つかった妊婦は,健常な児を得ることができないという思いとイメージしていた母親像が阻害され,人によっては危機的状況に陥る。さらに産後その児を失うことになれば,その悲しみは耐え難いものであると推測される。
私たちはこのたび,妊娠後期に胎児に異常がみつかって非常に混乱したものの,外泊後に落ち着きを取り戻して分娩に至った女性の看護を体験した。しかし,児は生後1日目に死亡し女性は再び混乱に陥った。私たちは,度重なる危機的状況におかれた女性に対して,妊娠期・産褥期を通して,どのような看護が危機を乗り越えていくことに役立つのか,また,培われてきた母性意識を失わずに発達させうるのかを探るため看護記録をとおして振り返った。
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