Japanese
English
特集 予防医学からみた腎疾患診療
【CKDの発症・進展と合併症のリスクとされるエビデンス】
肥満 肥満と腎障害の疫学研究
Epidemiology of obesity and kidney disease
佐々木 峻也
1
,
二宮 利治
1
SASAKI Takaya
1
,
NINOMIYA Toshiharu
1
1九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野
キーワード:
肥満
,
メタボリックシンドローム
,
腎障害
,
慢性腎臓病
,
疫学
Keyword:
肥満
,
メタボリックシンドローム
,
腎障害
,
慢性腎臓病
,
疫学
pp.833-837
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000167
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はじめに
わが国を含むさまざまな国において,腎代替療法を必要とする末期腎不全(ESKD)は経済的な負担となっている1,2)。そのため,腎障害の危険因子に関する検討は重要な公衆衛生上の課題といえる。肥満は腎障害の危険因子であることが多くの疫学研究により示されている。また,内臓脂肪型肥満を背景とし,耐糖能異常・脂質異常・高血圧症が集積した状態であるメタボリックシンドローム(MetS)も,腎障害の危険因子であることが報告されている。これらのメカニズムには糸球体過剰濾過,アディポカインの調整障害などに伴う腎障害が想定されている3)。一方,世界中で過体重および肥満を有する成人の割合は大幅に増加してきている4)。わが国の令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査によると,body mass index(BMI)25kg/m2以上と定義された肥満を有する成人の割合は,男性33.0%,女性22.3%であり,直近10年間では,女性においては明らかな増減を認めないものの,男性においては徐々に増加している5)。以上のことより,腎障害を予防するうえで,肥満の対策は重要であることが推察される。
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