特集 切迫早産—最近の治療とケア
切迫早産—最新のとらえ方
北井 啓勝
1
1社会保険埼玉中央病院産婦人科
pp.551-558
発行日 1998年7月25日
Published Date 1998/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901966
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はじめに
分娩の発来機序は,現代産科学でもなお十分に解明されていない。現在,2万個におよぶヒトの遺伝子の解明が進行しているが,陣痛発来を決定する単一の遺伝子はおそらく存在しないであろう。種の存続にとって重要な陣痛という現象は,複数の促進因子および抑制因子の協調作用により進行すると推定される。
このような生理的な仕組みが十分に解明されていない分娩現象に対して,陣痛の抑制あるいは促進が医療行為として実施されている。この技術は,少なくとも周産期死亡率あるいは妊産婦死亡率の減少という点から見れば確実に成果を上げている。これらの早産を含めた病気を治療する方法から,陣痛の仕組みについての理解が深まることもある。
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