特集 基本・周産期の薬剤
母体への薬剤投与による治療が新生児に及ぼす影響
永渕 成夫
1
1茅ケ崎市立病院小児科
pp.495-498
発行日 1998年6月25日
Published Date 1998/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901952
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はじめに
妊娠中に母体に投与した薬剤の胎児,新生児に及ぼす影響は,大きく3つの時期に分けて考えることができる。
まず,臨界期と呼ばれる妊娠4週から7週は,胎児の重要な器官が形成される時期で,薬剤に対する感受性が最も高い。この時期に投与された薬剤の影響としては,胎児の種々の器官に対して奇形を発生させる催奇形性が最も重要である。サリドマイドの薬害以来,この催奇形性を心配するあまり,妊婦に薬は投与しないことが常識化している。やや行き過ぎの感があるが,先天異常の原因を特定できるのが10%以下ということを考えると,安全と思っている薬剤が先天異常の原因となっている可能性は否定できないため,妊娠中の母体に対する薬剤の投与は,必要な場合のみ,最小限度に投与し,特に妊娠2か月前後は注意するというのが原則である。
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