講座
人工妊娠中絶の母体に及ぼす影響
塩見 勉三
1
1武蔵野赤十字病院産婦人科
pp.10-13
発行日 1954年10月1日
Published Date 1954/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200702
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はしがき
人工妊娠中絶は戰後,或いは経済的理由により,或いは法規改正でその適応範囲が拡大されたために急増し,且一般の人もこれを安易な手術と考え気軽に病院を訪れるようになつた.
戰後数年を経た今日その障碍も漸次明かにされ,その報告も相次いで発表されつつある.本手術は小手術とはいえ,目で見ながら行われる一般の手術とは異なり,いわば手さぐりの盲目手術であり,又人工的に妊娠を中絶するという不自然な経過をとるため,内分泌的にも少なからざる影響を及ぼすことは考えられる.一般に安易に考えられている人工中絶も種々なる影響を母体に及ぼすことを更に注意されてよいのではないかと思う.
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