連載 りれー随筆・164
震災から3年
額田 春美
1
1神戸大学医学部附属病院周産母子センター
pp.440-441
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901939
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今だかち話せる
私は周産期センターに勤務していますが,ここ5年間はずっとベビー室で働いています。先日,授乳中のお母さんと,3年たって初めて震災の時の話をしました。実は今まで患者さんに「震災当日に私がどうしていたか」というような話をしたことはなかったんです。以前にも震災の記録を残すから文章を書いて提出して下さい,という話はありました。その時は一応書いてはみたものの,なぜか“できれば何も書きたくない,言いたくない,何を言ったらいいのかわからない”という気持ちが強く,自分の心の内側に触れることができませんでした。けれどお母さんと何気なく話し始めたことで,やっと私も気持ちを整理できてきたのだろうかと感じ,今回,あえてあの時のことを書いてみたいと思い筆をとりました。
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