Japanese
English
特集 大震災と循環器・呼吸器疾患
大震災と肺炎
Pneumonia after a Disaster
中舘 俊英
1
,
井上 義博
1
,
遠藤 重厚
1
Toshihide Nakadate
1
,
Yoshihiro Inoue
1
,
Shigeatsu Endo
1
1岩手医科大学救急医学講座
1Department of Critical Care Medicine, Iwate Medical University
pp.933-938
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102045
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はじめに
日本は有史以来多くの地震と津波に襲われてきた長い歴史を持ち,西暦416年に遠明日香村で地震が起きたことが,日本書紀に書かれている.また記録に残る最初の津波の記録は,西暦684年(天武13年)に土佐,東海,西海地方で津波が襲来したと書かれており,南海トラフ周辺の巨大地震と考えられている.以来記録されているものだけでも150以上の津波が確認されている.津波後に生じた肺炎の記載は,確認できた限り,明治三陸大津波が最初であると思われる.津波から7年後に刊行された宮城県海嘯誌には,「内科的に属するものは多くは呼吸器疾患にして呼吸圧迫し体温の高きこと外科的患者に過く特に嚥下性肺炎に至りては症状頗る猛悪にして体温凡て四十度以上呼吸圧迫脈拍細数全身『チアノーゼ』を呈し苦悩の状見るに忍びず大抵数時間にして鬼籍に上れり」と書かれている1).
平成23年3月11日に襲来した東日本大震災では,東北地方を中心として,津波災害による多数の死者,傷病者が発生した.津波溺水後に発症した津波肺:Tsunami lung2~4)や,震災後に肺炎が増加し,津波後肺炎5),避難所肺炎:Shelter-acquired pneumonia6)として報告されている.本稿ではこれら東日本大震災の報告を中心に,震災と肺炎について概説したい.
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