連載 ハローベイビー—神戸市立王子動物園子育てストーリー・3
離乳食はママのウンチ
谷岡 正之
pp.174
発行日 1998年3月25日
Published Date 1998/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901887
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「小さく産んで大きく育てよう」をモットーにしているのがコアラだ.約1か月の短い妊娠期間を経て生まれた初生児は,体長2cm・体重0.5gの超未熟児,毛も生えておらず,目や耳も閉まったままで,わずかに鼻と前足だけが発達し,匂いをたよりに母親の袋(育児嚢)を目指してよじ登り,自力で袋の中に入る.
この袋は実によくできた自然の保育器で,温湿度が自動調整され,しかも授乳器?も備わっている.子どもは袋の中の2本ある乳首のどちらかに吸いつくと乳首が喉の奥まで伸び,母親は乳房の筋肉を収縮させて乳が分泌され子どもの胃に流れ込む仕組みになっている.この快適な袋の中で6〜7か月間過ごすのだが,気になるのがトイレ.子どもは糞まみれになるのでは?心配ご無用,たえず母親が口で袋の中を掃除するので清潔そのもの,お母さんの口はおむつの役目をするのである.
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