連載 とらうべ
現代の「幸福」の行くえ
葛生 良一
1
1人の泉
pp.5
発行日 1998年1月25日
Published Date 1998/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901851
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吉田兼好は「徒然草」に,『世はさだめなきこそいみじけれ』と記しています.兼好法師がいうように,すべてのものは変化を遂げていきますが,それにしても,今の世の中の変わり様はあまりにも急で,早過ぎるように思われます.変転,変貌,様変わりが速く,昨今この国では全てが浮き草のように見えてなりません.
街並みや山野も例外ではなく,わずかの間見ないうちに,味気ないビルに建ち変わり,木が伐採されて,山肌があらわにされ,高速道路が建設されるといった仕儀になるのです.深い山川はダムで塞ぎ止められ,川は流れを止め,海は死につつあります.
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