特集 産痛の解明とケア
分娩期に起こる産婦の眠気—助産学的視点から考える
菅沼 ひろ子
1
1宮崎県立看護大学
pp.735-741
発行日 1997年9月25日
Published Date 1997/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901773
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
助産婦である私が,「産婦の眠気」を意識し始めたのは,大学病院勤務から,出産数の多い民間病院の分娩室勤務となってからである。経験も少し積んで,毎日じっくりとお産と向き合うようになって気付いたことである。「何となく眠くなる産婦が多い。なぜだろう?」という観察段階を経て,「眠りの時期は産まれる前の一定期間のようだ」となり,さらに「この眠気は産婦にとっては,有効なリラクセーションをもたらしている」「これまでのつらそうな表情が全く消えている」「気持ちよさそうだ」「この時期は,陣痛はあるのに産痛を訴えていない」「眠気が終わる時期には児頭は十分に下降し,子宮口は,ほぼ全開になっている」といったことが多くの産婦に観察・確認されるようになってきていた。そして,この「眠気」は大きな意義があるのではないかと考えるようになった。
そこで助産婦仲間の協力を得て,この「眠気」という現象を確認していく作業を行なってみた。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.