特別企画 助産婦の専門性を高める助産計画
学生研究
遷延分娩の産婦に対する助産および看護について
斎藤 千春
1
1神奈川県衛生学院助産婦学科
pp.806-819
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205478
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1.はじめに
分娩介助に関する有為な情報を1つでも多く集めること,助産技術を少しでもスムースに行なうこと,適切な状況判断を行ない常に母児の安全をはかること,実習が始まったばかりの頃,私の頭の中にはそんなことがいっぱいであった。"先輩助産婦の技術の伝達を待つのではなく,自ら技術を盗め!"と教えられたこともあって,私は殊に,分娩室入室以降の助産テクニックを少しでも習得しようと,会陰保護や児頭および肩甲娩出術に最も興味を持ったし,したがって自己評価の良否の基準は第1に,それらが少しでもうまくできたか,そうでなかったかが問題になっていたと思う。正直言うと分娩室入室に至るまでの時期は,あくまでも"分娩準備期"であり,その期間の産婦のニード云々よりも,それがどの程度"分娩"に対して影響力があるか,のほうが私にとっては関心事であった。
けれどもある時,私は誰からであったかこういう言葉を聞かされた。"助産婦は,助産婦である前にまず看護婦でなければなりませんね"この言葉は痛いなあと私は感じた。まさに私がそうであったのだ。産婦さんを大切にしていなかったと私は反省した。学生である私はその産婦さんがどういう状態にあり,何を欲求しているのかを考える前に,その産婦さんの身体変化(血性分泌の状態,陣痛の状態などの情報)から,ひたすら産婦の身体内部の状態を想像し,分娩室入室を適切な時期に行なうために身構えていたと思う。
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