特別寄稿
切迫流産妊婦の看護(上)—「援助モデル」の確立に向けて
日隈 ふみ子
1,2
,
井上 冷子
1,3
,
浅野 恵美
1,4
,
市村 尚子
1,5
,
片桐 麻州美
1,6
,
月僧 厚子
1,7
,
篠田 恵見
1,8
,
谷口 通英
1,9
,
内藤 直子
1,10
,
岩澤 和子
1,11
1切迫流産妊婦の看護研究グループ
2藍野学院短期大学
3神戸市立中央病院
4中部女子短期大学
5神戸大学医学部附属病院
6東京医科歯科大学大学院
7福井県立大学看護短期大学部
8名古屋市立中央看護専門学校
9聖隷クリストファ看護大学
10奈良県立看護短期大学
11厚生省児童家庭局母子保健課
pp.417-423
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901709
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現代の女性にとって妊娠・出産という体験は,人生上の一大イベントとなったといえます。しかし,医療施設での妊産婦への関わりはほとんどが分娩中心であり,妊娠中のケアについていえば,各妊婦の心身の適応状態を把握しながら助産婦の判断(助産診断)によって援助するというより,医師による医学管理のもとでケアを行なっているようにも思います。
一人ひとりの女性にとって妊娠は非常に貴重な体験です。経過上で,もし異常が確認されたとしても安全のみを重視した分娩,胎児だけを重視する管理を妊婦に強いるのではなく,妊婦がその事実を受け入れ,その人なりの妊娠経過が送れるように私たち助産婦は援助したいと思います。さらに,妊婦さんの夫婦関係や家族への関わりを大事にする視点を私たち助産婦はもちたいものです。 1990年の第3回日本助産学会のワークショップで「危機状況にある母子及び家族の援助に関する研究」というテーマがありました。このテーマを選んだ私たち(右段上の表のメンバー)は,これまであまり注目されなかった切迫流産妊婦の看護に関する継続研究を進めることにしました。切迫流産妊婦への援助は十分ではないと考えたからです。
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