特集 助産婦たちの勉強会
「病院のお産をもっとよくする会」—産婦の主体性が発揮できるように助産婦の質を高める
福井 トシ子
1
1杏林大学医学部附属病院産婦人科病棟・NICU
pp.38-42
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901625
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はじめに
唐突ですが,何をするにもお金が必要だと思いませんか。研究的取り組みをするときに,特にこのことを感じます。そんなある日,「助成金をだします」という広告を新聞で見つけました。この助成金を受けるためにはこれまでの実績をもとにした活動報告が必要です。これまでの取り組みをかき集めて応募してみましたが,助成金の対象にはなりませんでした。じゃあこういう助成金に応募して採用されるような活動をしようじゃないかというのが,「病院のお産をもっとよくする会」の発足の経緯で,1996年4月に発足しました。動機は極めて不純ですが,このことをきっかけに勉強もできるならこんなにいいことはない,と思っています。
「病院のお産をもっとよくする会」にしたのは病院で働く助産婦の嘆きをよく聞くからです。産婦さんに喜んでもらえる助産をするためには助産婦が嘆いていてはだめですよね。病院のお産が産婦さんにとって,家族にとって,助産婦にとってよくなって欲しいと思います。病院のお産がもっとよくなるためには,産婦さんが主体的にお産ができるように“場”が整えられていることはもちろんですが,この“場”を生かす助産婦の質が高いことはもっと重要だと思います。多くの場合,“場”が悪いことを嘆いているのが現状ではないでしょうか。“場”が悪いと嘆き,結局逃げてしいるに過ぎない助産婦ではなく,産婦に主体的なものを求めるならば,まず私たちが主体的でなければならないのだと思います。“場”を変えるための力を備え,問題に向かっていかれる助産婦であるための勉強をしたいと考えました。
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