特集 母親学級--共に響きあうクラスづくり
妊産婦の主体性を支える援助を—「お産の教室」の試みから
園生 陽子
1
1琉球大学大学院保健学研究科
pp.989-993
発行日 1988年12月25日
Published Date 1988/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207524
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妊産婦の"お産像"をつくる分娩情報を考える
医学と科学技術の発展に伴い,産科学分野でもめざましい進歩をとげた分娩管理技術を駆使した病院分娩は,わが国の周産期における母子の安全の確保に大きく貢献してきた。しかし,安全性を最優先にした産科学の分娩指針に添って,多くの病院では,分娩体位の制限,胎児モニタリングや会陰切開,薬物の使用など,異常を想定した制約や処置が,正常・生理的分娩経過をとる産婦に対してもルティーンに行なわれ,速やかに進む分娩に価値がおかれている。
かつては,正常な分娩の大部分が家庭で行なわれ,家族や隣り近所の女たちと妊産婦自身の能力の範囲で対処できていた。その中で培われた"産む"立場からの知恵や援助など分娩に関する詳細な情報は,今や,産科学の分娩指針のもとに画一的な分娩管理にたずさわる専門家の生物学的情報を中心とした医学知識にとって代わられ,妊産婦の接する分娩情報が,一連の分娩管理の情報に偏る傾向にあることは,吉村1),松岡2)他の指摘するところである。
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