特集 「助産士」を考えよう
現代における助産士の意味と将来における助産婦の可能性について
対馬 ルリ子
1
1都立築地産院産婦人科
pp.550-553
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901505
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はじめに
最近,助産士問題が議論されるようになったのは,一つにはすでに認められている看護士に加え,保健士が法的に認められた背景がある。考えてみれば,医者に男女がいて当然ならば(過去には女の医者など考えられない時代もあったが),看護職や助産職が女だけというのも変である。それが,医療チームのなかで補助的に機能する集団ではなく,専門職として自立した存在ならばなおさらである。しかし,すでにできあがった概念を変化させるのは容易ではなく,特に助産婦は産婆として医師不在の現場で分娩を担ってきた歴史を持つため,かえって女性であることにこだわっているように思われる。だが,より大切なのは新しい時代の文化や価値の創造という視点ではないだろうか。過去にこだわるより,これからの男女の関係が,分娩が,助産婦がどう変わっていくべきかという論点からこの問題を再考してみたい。
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