特別寄稿
羊水穿刺を選択しなかったダウン症児の母親たち
玉井 真理子
1
1日本体育大学女子短期大学保育科
pp.332-335
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901230
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はじめに
近年,胎児診断の技術的な進歩はめざましい。診断可能な疾患が増え,検査に伴うリスクも減少したことなどにより,本邦における適応例も増加してきている。しかし,胎児診断で「異常」が発見された場合に,胎内で治療できる疾患は極めてわずかであり,患者サイドは時に妊娠を継続するか否かという厳しい選択を迫られることになる。
胎児診断の方法には,超音波画像診断,胎児造影法,胎児鏡,X線単純撮影,胎児皮膚生検,胎児心音心電図,羊水穿刺,絨毛採取,臍帯穿刺(胎児血採血)などがあるが1),このうち,侵襲的検査として最も適応例が多いのは羊水穿刺である。厚生省心身障害研究班による最近の全国調査の結果を見ても,9割近く(3834例中3328例,86.8%)が羊水穿刺による診断を受けており2),羊水穿刺が最も一般的であると言える(表1)。
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