特集 赤ちゃんの死のケア
13トリソミーと診断された児を亡くした母親の看護
舘松 憲子
1
,
小山 裕子
1
,
福井 トシ子
1
1杏林大学医学部附属病院産婦人科病棟
pp.836-841
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901114
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はじめに
妊婦は,誰しもが生まれてくるわが子は五体満足で元気であると信じ,そうあるように日常の生活に注意し,わが子と対面するその日を待っている。それに反し,生まれたその子が奇形を持つ場合,両親やその家族が感じる苦悩と悲しみは計り知れない。それでも両親やその家族はわが子の生存に望みを託し,悲しみを乗り越えようとする。そのような過程にあって,わが子の生存が危ぶまれ死に至った時,その両親およびその家族は何を拠り所に悲しみを乗り越えていくのだろうか。
今回,私たちは,出生前診断のないまま奇形児を出産し,生後27日目に13トリソミーと告知され,児を亡くした母親およびその家族の看護を経験した。この母親は,幾度かの児の病状説明を受け,戸惑いと不安を感じていたが,私たちはその戸惑いと不安を受け止めて援助を行なうことができていただろうか。
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