特集 赤ちゃんの死のケア
赤ちゃんを亡くした親の悲しみ
藤巻 かすみ
1
,
樋口 博一
1
,
樋口 恵
1
,
小島 温子
1
,
堀田 彰恵
1
1SIDS (乳幼児突然死症候群)家族の会
pp.850-856
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901116
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はじめに
赤ちゃんが亡くなるということは,期待に満ちた幸福な時が,全く予期してもいなかった悪夢に変えさせられてしまうということです。それは今まで経験したこともないほど,強く悲しい体験です。そして,悲しみから立ち直るには,長い時間を要するのです。
経験者の多くは,赤ちゃんが亡くなった時,その場に居合わせる医師や看護婦の配慮が,その後の両親の気持ちに,かなりの影響を及ぼしたと言います。その配慮とは,1)両親に必要な情報が正確に,速やかに伝えられたか,2)両親の大切な子供として,赤ちゃんを扱ってもらえたか,3)両親が希望するだけ赤ちゃんのそばにいて,赤ちゃんを慈しむ時間が与えられたか,4)両親の感情(混乱,怒り,失望感,自責感,孤独感など)を,あたり前のことだと認めてもらえたか,5)多くの意思決定に両親の参加の機会が与えられたか(赤ちゃんに会うべきか,抱くべきか,写真をとるべきか,名前をつけるべきか,解剖など),などです。配慮が十分でなかった時,悲しみはさらに助長され,後悔,怒り,孤独感などの感情が増したと言います。
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