特集 赤ちゃんの死のケア
胎児・新生児を失った両親への長期的ケア
小山 道子
1
1神奈川県立こども医療センター周産期医療部指導課
pp.830-834
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901113
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はじめに
近年の周産期死亡率の低下,乳幼児死亡率の改善は目覚ましいものがあり,喜ばしいことであるが,その結果,社会一般に妊娠・分娩は安全なもので,元気な赤ちゃんが産まれるのがあたりまえであると思われるようになった。しかも少産傾向で,一生のうち分娩は1回か2回しかないので,1つ1つの妊娠・分娩をより大切にする傾向にある。すると,もしその妊娠・分娩の結果が,不幸にして新生児死亡あるいは胎児死亡ということになると,以前よりその死は両親の心により強くのしかかってくる。
多くの両親は,時の経過とともに,胎児あるいは新生児の死の衝撃から立ち直って,以前と同じような生活を送るようになるが,中には,克服できない人や,長くわが子の死にとらわれてしまう人がいる。ここに長期ケアの必要性が出てくるのであるが,胎児・新生児を失った両親への長期的ケアがうまくいくためには,死の周辺でのケアが基礎になる。
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