特集 HIV母子感染のケア
HIVキャリアの妊娠・分娩・産褥の管理
宮澤 豊
1
1東京都立大塚病院産婦人科
pp.457-463
発行日 1994年6月25日
Published Date 1994/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901034
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はじめに
わが国において,昨年1年間に新たに報告されたエイズ患者ならびにHIV(human immunodeficiency virus:ヒト免疫不全ウイルス)感染者の総数は,1992(平成4)年に比べ減少しており,これを男女別にわけて観察すると,男性はほぼ昨年と同数であるが,女性が著明に減少していることがわかる(図1)。
しかし,これにはsexual workerとしてわが国で生活している外国人女性がHIV抗体検査を受けなくなったことにも一因があると考えられており,単に数が減ったからといって手放しで喜んでばかりはいられない。むしろ,エイズを発症するまでHIVに感染していることに気づかずに最初から「エイズ患者」として報告される重症例や,母子間感染例が増加していることなど,この疾患の新たな側面をみせはじめている。われわれ医療に携わるものとしては,エイズに対するより専門的な知識が求められてきている。
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