特集 妊娠高血圧の理解とケア
高血圧妊婦の看護ケースレポート—妊婦の自立性を高める保健指導をめざして
父母 てるみ
1
,
簔田 和子
1
1熊本赤十字病院産科病棟
pp.389-395
発行日 1994年5月25日
Published Date 1994/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901018
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はじめに
近年妊娠中毒症は,妊娠中の管理が十分行なわれるようになり減少傾向にある。これは女性の意識の向上と,妊婦健診や母親学級での指導が充実したことにもよる。しかし,いったん妊娠中毒症が重症化し,とくに妊娠高血圧症をきたすと,母児の予後に大きな影響を及ぼす。さらに妊娠中毒症妊婦は将来高血圧を発症しやすいと言われている。そこで,妊婦管理上,妊娠高血圧症の発症を予防することは大変重要となる。
本稿では,妊娠33週で急に高血圧を発症し入院となり,妊娠36週で胎児仮死のため帝王切開となった事例と,妊娠前からの高血圧症のため,本人の希望もあり妊娠全期間ほとんど入院生活を送り,妊娠40週で経腟分娩で正常児を得た事例をとりあげた。この2事例を通して,妊娠高血圧症の発症や悪化を防止するためには,妊婦自らが自主性を持って行動できるよう指導することがいかに必要であるのかを学んだので,ここに報告する。
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