特集 保健指導体験集
報告Ⅰ
妊婦の周辺と保健指導
市川 英子
1
1日赤産院
pp.11-14
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204279
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はじめに
ここ1〜2年前から妊婦の要求する問題も多くなり,将来の母子保健のありかた,いわゆるビジョンがどうあったらいいのか,雑誌や講演など,産科界の中では重要視(再認識)され,論議の的となっている。したがって教育課程においても,昭和46年度から新カリキュラムによる母子保健中心の総合的な多角的教育が行なわれるようになった。私も卒業後は主に分娩介助に重きをおいて,そこから母子保健をスタートしようと考えたこともあるが,今はまさに母子保健の中では,分娩介助はほんの一部にすぎない。そこでできるだけ正常な妊娠・分娩・産褥の一連的な経過をみるためには,妊婦のもっているいろんな悩みや問題を主に,生活面でのこと,身体的・精神的・環境的なことに入りこんで,真の実際的な保健指導が必要になってくるのは周知のとおりである。私の体験の中から考えると,集団指導(母親学級・精神予防性無痛分娩)を通し,外来では母子保健部という独立したクリニックで,妊婦のもっている心配ごとや悩みをとらえることができる。
当院の母子保健部では,現在保健指導カードに基づいて,妊娠各月による指導を行なっているが,その指導項目は,だいたい理論的にとらえた最低限度のものであり,現場においてはほかにたくさん妊婦の不安や質問があり,それに十分応えていくには,母子保健部そのものにも改善の余地はあるが,今回は母親学級の中から,若年層の妊婦を対象とした一症例をのべてみる。
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