特集 体外受精
新生児科医からみた体外受精
奥谷 貴弘
1
,
上谷 良行
1
,
中村 肇
1
1神戸大学医学部小児科
pp.222-226
発行日 1994年3月25日
Published Date 1994/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900982
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はじめに
体外受精・胚移植(IVF-ET),卵管内配偶子移植(GIFT)などの不妊治療技術の飛躍的な発展は,確実に妊娠率や生産率の向上に結びついている。しかし喜ぶべきことばかりではなく,少なからず問題点を抱えている。そのなかでも最も深刻な問題となっているのが多胎妊娠率の高さである。
日本産婦人科学会の1992(平成4)年度報告によると,IVF-ETによる多胎分娩率は約20%,GIFTでは約30%と極めて高率なデータが示されている1)。多胎妊娠は単胎に比べ,母体に妊娠中毒症や貧血を強く引き起こし,さらに早産や児の周産期死亡などを起こしやすく,母児ともにハイリスクの状態に陥る。
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