特集 妊産婦の権利と助産婦
バースライツ—良い出産を選ぶ権利
加納 尚美
1
1聖路加看護大学
pp.452-456
発行日 1993年6月25日
Published Date 1993/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900814
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バースライツとは
最近,イギリスの助産婦サリー・インチ氏の『バースライツ』(メディカ出版,1992)という本が翻訳出版された。これは,従来の,施設におけるルーティン化された医療的介入分娩に対して,その1つ1つを根本的に問い直すと同時に,親がどんな時に何を選択する権利があるかを示唆している。この,まだ日本では耳慣れない「バースライツ—良い出産を選ぶ権利」について,日本の現状や個人的経験を踏まえて考えてみたい。
権利とは,「広辞林」によれば,「特定の利益を意志をもって主張し,または享受し得る法律主の能力。あるもの事をなしうる資格」とある。権利が主張されるところには,必ずといっていいほど権利の抑圧や剥奪があるといえる。たとえば,女性差別が根強いからこそ「女性の権利」が主張されるのである。
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