特集 妊産婦の権利と助産婦
妊産婦の人権は守られているか—インフォームド・コンセントの現実とそのめざすもの
今関 節子
1
1群馬大学医療技術短期大学部
pp.445-451
発行日 1993年6月25日
Published Date 1993/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900813
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はじめに
インフォームド・コンセント(informed consent最近は略してICと使われることも多い)という言葉を見聞きするようになってかなりの時間がたつ。筆者はインフォームド・コンセントの意味を知ったとき,医療関係者の間でことばだけが飛び交うのではなく,真に内実の伴うものにしなければならないという思いを強くいだいた。インフォームド・コンセントは助産婦の働き方の基本的性格を規定するものであり,業務の日常的性格そのものだからである。助産婦にとって,インフォームド・コンセントがなげかける基本的命題は,他の分野と同様,助産婦の働きを通して“いかにして社会の健全さを守るか”である。
ここでは,まずインフォームド・コンセントについて解説した後に,生命倫理の問題でしばしばテーマとなってきた体外受精におけるインフォームド・コンセントの現実や,人工妊娠中絶の場合の助産婦によるインフォームド・コンセントについて考え,医療法改訂等最近の社会の動きにも合わせ,助産婦の行なうインフォームド・コンセントのめざすべきものについて考えてみたい。
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