特集 今,産む人の感覚
マタニティ雑誌にみる妊産婦の意識と感覚
松木 玲子
pp.46-53
発行日 1993年1月25日
Published Date 1993/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900727
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妊婦雑誌花ざかりの時代
妊婦さんのための雑誌,いわゆるマタニティ雑誌が今や絶好調である。現在出ているのは月刊の『バルーン』(主婦の友社)『ピー・アンド』(小学館)『マタニティ』(婦人生活社)の3誌が中心。創刊から7〜8年がたつ。この間も出産率は低下していったが,これらの雑誌の発行部数は逆にじわじわと増え続け,今では3誌の合計が60万部近くに達するというから驚く。現在,日本全国の妊婦さんは約120万人。単純に計算すると,妊婦さんの2人に1人はこういう雑誌を愛読しているわけである。
マタニティ誌が次々に創刊された当時は,松田聖子やアグネスチャン,竹下景子などの芸能人が表紙を飾り,「出産・育児のファッション化」と皮肉られたものだった。一時の熱は冷めたものの,これらの雑誌には今も相変わらずおしゃれな妊婦さんがにこやかに登場し,かわいい赤ちゃんグッズがあふれ,「ファッショナブルで楽しいお産」「明るい妊娠」のイメージを振りまいている。かつての苦しいお産はもうなくなってしまったのだろうか。それなら,こんなに喜ばしいことはないのだが──。
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