MEDICAL SCOPE
マタニティ・エクササイズ
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.791
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901105
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「マタニティ・エクササイズ」という言葉を耳にしたことがありますか? 妊娠している女性の健康管理のための体操,運動とでもいうのでしょうか,最近はやりのエアロビクスとかジャズダンスのような技術を取り入れて開発されたものです。妊婦が体操をしたりスポーツをするという傾向は,アメリカから始まり,日本では妊婦水泳のような形としても発展してきました。皆さんの施設でも,取り入れて,臨床に応用されているところも多いと思います。このように妊婦がスポーツに親しむということは,肥満を防止し,肥満妊婦の合併症を減らすという意味でとてもよい効果があがっているという事実は,多くの学会で発表されています。今回,表題に掲げた「マタニティ・エクササイズ」はスポーツとどんな点で違うのでしょうか。実は,この区別がとても大切であることがわかってきました。
スポーツには勝ち,負けがあります。また,スポーツをするということは,何をやるにしろ,上限がありません。つまり,水泳をやるならば,今日,最高タイムを記録しても,もう1分,もう1秒縮めることができるかもしれないのです。つまり,極限なく続けられるわけです。したがって,妊婦があるスポーツをするということは,この考えからいうと勧められません。妊娠という環境を忘れて,一歩前進といつも孝えて,努力してやりすぎてしまうからです。
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