連載 フランス出産事情—変わりゆく出産・助産婦・病院・6
わたしのフランス出産体験⑤—育児
舩橋 惠子
1
1桜美林大学国際学部
pp.870-876
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900189
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新しい暮らし
退院して,家に着くと,子供たちが私に飛びついてきた。私は二人をしっかり抱きしめた。思いの外,二人は新しく現れた赤ちゃんにやきもちを焼かず,むしろ興味津々であった。彼らは小さな弟に夢中になり,面白がってよく手伝ってくれた。夫は料理と掃除を受持ち,私は赤ちゃんの世話に専念した。
翌日,思いがけないことに,近所の人々がお祝いに来て,赤ちゃんにプレゼントしてくれた。以後,赤ちゃんのお蔭で,これまで疎遠だった近所の人達と親しい付き合いが始まった。フランス人は,日本人に負けず劣らず,赤ん坊が好きだ。(道でも,買物していても,あらゆるところで,赤ちゃんをきっかけに話しかけてくる人がいた。また,母親というものに親切で,郵便局の入口や地下鉄,バス,どんな階段のところでも,乳母車をかかえていると,必ず誰かがさっとやって来て手助けしてくれた。)
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