Medical Scope
硬膜外麻酔と分娩
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.729
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900159
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腰部硬膜外麻酔と分娩の関係は,今日では非常に深いものとなっています。一般的にも,腹部の手術のときには硬膜外麻酔を利用する症例が圧倒的に多くなっていますが,下腹部の臓器を相手にする私たち,産婦人科の分野でも,ほとんどの手術に用いられています。
分娩時の部位麻酔というと,つい最近までは脊椎麻酔の腰麻が大半をしめ,サドル・ブロック(麻酔)といって一時期非常に多く用いられたこともあります。しかし,ルンバールといったこの麻酔は,下半身全部が麻痺するために両下肢に血液が集まってしまい,血圧の下降をみたり,子宮への血流量が少なくなり,ときには胎児心音の悪化も生じることから,今日ではほとんどの症例で硬膜外麻酔にかわってきました。この麻酔法では,腹部の一部分,あるいは会陰部といったように,希望する部分だけの麻酔域を得られること,チューブによる持続硬膜外麻酔では,かなり長時間にわたって実施できるなどの点から,分娩や術後の疼痛除去の対策としても用いられるようになりました。
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