今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス
VI.硬膜外麻酔分娩と妊婦
妊婦の疑問に答えます
78.硬膜外麻酔を行うと分娩が長引くことはないのですか.
早田 幸司
1
1早田産婦人科クリニック
pp.562-563
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101252
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1 はじめに
分娩の進行を決めるのは娩出力,産道,娩出物である.硬膜外麻酔は,娩出力と産道に影響を与える.
娩出力とは,産道を通って胎児とその付属物を娩出させる力のことで,主として陣痛と母体の腹圧からなる.周期的に反復する子宮収縮を陣痛といい,胎児を娩出させる最も大きな力になる.子宮収縮力が弱かったり陣痛の間隔が長くなった状態を微弱陣痛といい,分娩進行が遅延,さらには停止してしまう例がある(表1).
日本産婦人科学会では,初産婦で30時間,経産婦で15時間を経過しても児娩出に至らないものを遷延分娩と定義しており,母児に障害を及ぼすことがある.原因は多胎妊娠,肥満,母体疲労,軟産道強靱症などいろいろあるが,正しい分娩法ならばどのような方法だろうと遷延分娩の直接原因になることはない.
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