グラフ 胎児の機能診断
CST (OSST)と胎児胎盤系予備能
日高 敦夫
1
,
北中 孝司
1
,
駒谷 美津男
1
,
池田 春樹
1
Atsuo Hidaka
1
1大阪市立大学医部産科婦人科学教室
pp.760-763
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207249
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CST (contraction stress test)やOSST (Oxytocinstep stress test)1)(図1)は,ある一定の子宮収縮による負荷を胎児胎盤系に与え,それに対応する胎児心拍の反応パターンから,それぞれの胎児胎盤系機能的予備能を把握する方法としで今日臨床応用されている。
一般に分娩第I期の子宮収縮の強さはおよそ50mmHgであり,これがもたらす胎児胎盤系への影響として,動物実験の成績より子宮胎盤血流量は約30%の減少がもたらされ,しかも収縮の強さと血流減少率(最大60%まで)には負の相関性が認められる2)(図2,3)。この血流の減少はさらに絨毛間腔血液ガス値の一過性の変動を招き,つまり各子宮収縮毎に数torrのPO2減少とPCO2の増加がもたらされる。このような一過性のhy—poxemiaは機能的予備能の乏しい胎児においては徐脈発症がみられ易くなる。その機序として,hypoxiaによる胎児カテコーラミンの反応として一過性のhypertensionや,さらにbaroreceptorの作働により胎児徐脈がみられ易くなる。しかもCO2によるChemoreceptorの刺激によりvagal toneがたかまり,それによる徐脈化も関与してくる。さらに著しいhypoxiaでは,non-reflexbradycardia,つまりmyocardial depressionとしての徐脈にいたる。
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