Medical Scope
胎児仮死予知の手段開発への努力
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.175
発行日 1990年2月25日
Published Date 1990/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900039
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少し前のこの欄で,胎児が実際に胎児仮死という病態になってから娩出したのでは遅すぎるのではないか,という話題をお話ししたのを覚えていますか。胎児仮死と診断がつけば,もうその時の病態としては現実に低酸素症,いわゆる酸素不足がおこっているわけですから,この時に娩出したのでは全例の予後が良好になることは期待できないことになります。
そこで,何とかして胎児仮死を予知する手段が必要になり,エコーを使った胎児の動的診断法(Biophysical Profileといわれているもの)や特殊なNST(胎児心拍数モニタリング)が開発されてきました。そのなかでも,最近になって注目をあびているのがFAS Test(FAS:fetal acoustic stimulation)とよばれている,胎児に音響刺激を与えて行なうNSTです。胎児に特殊な音響刺激装置(すでに市販されている)をあてて,音のバイブレーションを感じさせて心拍数をみていくと,元気な胎児ではアクセレレイションを示し,胎児仮死になるような症例では反応がないというのです。
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