今月の臨床 帝王切開
帝王切開に踏みきるとき
9.胎児仮死
岡村 州博
1
,
武山 陽一
1
Kunihiro Okamura
1
,
Yoichi Takeyama
1
1東北大学医学部産婦人科
pp.664-666
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900881
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胎児仮死は日本産科婦人科学会の産科諸定義委員会により「胎児・胎盤系における呼吸・循環不全を主徴とする症候群をいう」と定義されている。主たる病態は胎児の低酸素症とアシドーシスであると考えられているが,その発症には主に分娩時に現われる急性(acute)なものと,重症妊娠中毒症や子宮内胎児発育遅延(以後IUGR)にみられる胎盤循環不全に起因すると考えられる慢性(chronic)のものとがある。分娩時の急性胎児仮死の兆候および対処法についてはもはや議論の余地はないと思われるので,今回は慢性の胎児仮死に対する対処法につき私見を交えて述べたいと思う。
重症妊娠中毒症やIUGRの症例を管理する上での最大の問題は胎児のwell-beingをいかに正確に判断し,terminationの時期を決定するかということである。そのため,さまざまなbiophysical,biochemical両面からの検査が行われている。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.