特集 現代父性論
父性の課題
中塚 勝俊
1
1香川大学教育学部
pp.8-13
発行日 1990年1月25日
Published Date 1990/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900005
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父親研究のなぜ
父なき社会,父親不在といわれ続けて久しい。戦後,父親の家庭内での権威が崩れ始め,そしていまだ父親のアイデンティティが確立されるにいたっていないという。その未確立の程度は,とりわけ昭和39年の東京オリンピック,それに続く万博のころからその加速度が増したといわれる。
その間,“ゴキブリ亭主”“粗大ゴミ”“いくら掃いてものかない濡れ落ち葉”きわめつけは“ベランダの蛍”等々と揶揄され,ただ黙々と仕事に打ち込む男性の姿のみがフォーカス・インしてきた。そのような姿が夫婦という間柄だけにとどまっていれば,問題は吹き出してはこなかった。
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