特集 ゆらぐ「家族」
ゆらぐ母性,父性
春日 キスヨ
1
1京都精華大学人文学部(家族社会学)
pp.16-20
発行日 1995年1月25日
Published Date 1995/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903352
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何からの「ゆらぎ」か
「ゆらぐ母性」という言葉によって,多くの人がイメージするのは,どのようなことであろうか。現代の母親たちの抱える問題に関してこの語を使おうとすると,「ゆらぐ」は「ゆるぎのない」という対語につながり,現代の母親の比較の対象として「過去の女性」が選ばれ,それはつい,過去の女性たちが「ゆるぎのない母性」を持っていたかのような連想を伴いがちである。そして,解釈は現代の母親のダメさを暗に含んだ方向に流れてしまう。
しかし,過去との比較で言えば,いつの時代の母親たちも「ゆらぐ母性」を生きてきた。ただ,その「ゆらぎ」の内容が時代によって異なるだけである。
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