特集 出産・育児と父親の役割
妊娠・出産に父性はどうかかわり得るか
村山 郁子
1
1新潟大学医療技術短期大学部看護科
pp.15-21
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204974
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1.はじめに 人間を生物学的側面からとらえる時,自己保存(生命の保存)と自己再生産(子孫の存続)という2つの本能的なはたらきをもっている。自己の生命,すなわち体細胞はいつかは生命を絶つが生殖細胞は子孫を残す。しかし,社会的には"生命誕生"は,一般的に男と女の結婚によって夫婦関係にはいる行為に端を発する。それは家庭を場とする家族関係の問題でもある。パウロは,結婚は私通を防ぐものだという。ラッセルは,パウロの考えはパンを焼くのは菓子を盗まないようにするために等しい。結婚は子どもを生むためのものだという。
しかし,最近は,結婚を即,子どもと結びつける考え方に異論も多い,山口の報告1)では子孫存続派は4位,筆者の調査2)では5位である。昔のように「嫁して3年,子なぎは去る」「子はかすがい」といった時代の因習もうすれ,結婚に対する考え方,子どもを生み育てることの意義などに対する価値観が多様化している。
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