連載 2冊の本
「犯罪者たち」—罪にいたる病/「死よりも遠くへ」—80年代の生と死の風景
中嶋 真澄
pp.966-967
発行日 1989年11月25日
Published Date 1989/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207732
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「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がある。しかし,最近の凶悪事件を報道するマスメディアの姿勢や一般の反応を見ていると,「罪を犯した人をこそ憎み,断罪する」といった傾向にある。凶悪犯はその犯した罪のゆえに,現代という情報化社会のなかで,裸にされ,鬼畜のごとく罵られ,袋叩きにされる。あげくはその家族までもがプライバシーを侵害され,普通の生活をおびやかされる。
「聖書」のなかでイエスは,罪人に石を投げられるのは,自らを省みて罪を犯したことのない人間だけだと言った。そのとき,人々はおのおの罪人を打つことをやめたのではなかったか。
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