連載 新生児学基礎講座[臨床編]・8
新生児の養護と管理③—NICU入院児
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門
pp.956-962
発行日 1989年11月25日
Published Date 1989/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207730
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1.NICU(Neonatal Intensive Care Unit,新生児集中治療室)とは
学会での正式な定義はまだなされていないが,「24時間連続して重症新生児の呼吸,循環,代謝等の管理ができるチーム,設備およびシステムのある施設」がNICUと呼ばれるものであろう。チームとは専任の看護婦および医師のチームのことであり,設備とはレスピレーターやモニターなどの機器類のみならず,産科や小児科病棟の一部ではない,独立したユニットのことである。またシステムとは夜間でもX線の撮影や血液ガスなどの検査が可能であり,さらに新生児専門の当直がいることなどを意味する。表1に日本小児科学会新生児委員会におけるNICUの定義,表2に社会保険で定められた新生児集中治療室施設基準を示す(次ページ)。
現実にはNICUと呼ばれているところでも,必ずしも専任のチームが形成されているわけではなく,また夜間は産科や小児科の当直医が兼任をしているところも少なくない。NICUは,夜間や休日といえども医療のレベルが大幅に低下しないシステムが必要である。一般の病児室からNICUを分けて考える理由は医療の密度やレベルの点もさることながら,その連続性ということが大きなポイントであり,間欠的なバイタルチェックや投薬などではすまされない人工換気や持続吸引などの連続した治療と,急変するかもしれない病態に対する連続した観察と対応ができる施設でなければならない。
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