【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第6話
遠くを見られる医者
國松 淳和
1
1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1154-1159
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202807
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
内科ローテーションの初日、救急から引き継いだあの患者さんが亡くなってしまった。担当の後期研修医・栗塚は「なんとなく」嫌な気はしていたが、その患者の容体は悪化の一途をたどり、対応はすべて少しずつ後手に回ってしまった。三尖弁の感染性心内膜炎(IE)という診断も、治療にも間違いはなかったのになぜ? 右心系IEの原因は? しかも患者は、筧の旧友だった。「紘乃、戻ってきて!」。筧の叫びもむなしく患者は亡くなってしまったはずだったが…。
臨床の「なんとなく変」「何かがおかしい」を言葉にするのは難しい。それに今時、根拠のないことを口にするのははばかられる。でも、その違和感や直感が、患者を救うこともある。「基準はどうでもいい」と黒野は言う。「なんとなく」をどうすればよいのか? そして、黒野に見えていて、栗塚に見えていなかったこととは?
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