Medical Scope
RDS,肺サーファクタントに関する最新情報
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.881
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207716
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未熟児の呼吸障害の大部分をしめるRDS(respiratory distress syndrome)は,肺サーファクタントの欠乏によっておこる疾患であることは皆さんもよく御承知のことでしょう。この羊水中に分泌される肺サーファクタントは胎児の肺のⅡ型細胞で作られ,肺胞のなかに分泌されるために羊水中に流出してきます。そして,妊娠35週をすぎると充分に生産されるようになるので,RDSもなくなってくると教わったことでしょう。今日では,この肺サーファクタントの成分も研究され,いままでいわれていた燐脂質のほかに,少なくとも3種類の蛋白質も含まれており,このうちの分子量が35,000と大きいSP-Aという蛋白質が,羊水中の量と肺の成熟度と大いに相関関係を示していることもわかってきました。
動物の胎仔を早産させると,肺サーファクタントが充分生産されていない時期の未熟胎仔はすべて出生後にRDSになります。しかし,ヒトの場合には,私たちがときどき経験するように,妊娠29週で出生した未熟児でもRDSにならないこともあります。動物ではすべての未熟胎仔がRDSになるのに,ヒトではどうしてRDSにならない症例があるのでしょうか。
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